子犬を溺愛していた母犬が、突然子育て放棄
赤ちゃんを生んだ母犬は、徹底して子犬の面倒をみます。出産したその日は自分が食事もとらず、子犬をおなかのあたりに固めて抱え込み、好きなだけオッパイを吸わせます。子犬が満腹になって寝入ると、お尻を刺激してウンチをさせ、きれいになめ取ります。
自分が喉が渇いたりおなかが減ったりすると、産室から出てきて食事をしたりしますが、その途中で子犬が「キュン」とひと声でもあげれば、すぐに戻って様子を見ながら二度とそばを離れようとはしません。子犬がゴソゴソ動き回るようになると、自分から離れすぎないようくわえて産室に連れ戻したりもします。
それが、子犬が一〇週目くらいになると逆に、子犬を産室や移り住ませたケージから追い出そうとすることがあります。それは冷たく「出ていってちょうだい。ここは私だけの居場所よ」といわんばかりです。
これは、子犬に巣立ちのときがきたと錯覚しがちですが、決してそうではありません。
生後一〇週目のころになると、子犬はコロコロしてかわいくなります。
飼い主はかわいさにつられて、ついつい子犬ばかりかまってしまうのです。
すると母犬が子犬に嫉妬してしまうのです。
子犬が序列的に自分より下だと確認できれば、何も母犬が子どもを追い出したりしないのです。自分が飼い主から愛されている、いちばん上位に扱われていると自信のある母犬は、育児やしつけを放棄することはありません。
子犬を追い払おうとするのは、先輩犬が新しい子犬を迎え入れたときの心境に似ています。子犬の序列が自分より上位になるのは気分のいいことではありません。
といっても母性の強い雌犬は、自分の生んだ子犬を噛んだりするほど攻撃的にはなれません。
そこで「出ていけ、あっちへ行け」と自分のテリトリーを主張することで、序列優位を確認したがっていると受け止めましょう。
飼い主が「子育て頑張ってるね、おりこうさんだね」と母犬に声をかけたり、「そろそろ乳離れのときだから、子犬には別のごはんつくったよ」などと話しかけつづければ、母犬は自分の子犬に嫉妬することもなく子育てをつづけるのです。
ただし、それまでの雌犬のしつけに失敗していると、たとえ生まれたての赤ちゃんでも世話をしない母犬になるコもいます。甘やかされ、よその犬との接触がなく、どうかすると自分のほうが飼い主より序列が上位と錯覚しているような雌犬に見られる行動です。
本来は母性の強い犬が、育児放棄するようなコに育たないよう、犬のしつけには注意を払いましょう。


