犬 犬のしつけ 子犬のしつけ方

犬へのご褒美

犬のしつけにおいて、

「肯定的強化の原則とは、好ましい行動は常に報いられ、好ましくない行為は絶対に報いられない、ということである。ある行動が何かしらの形で報いられると、それは反復される可能性が多分にある」(ドドゥスン)。犬の心理に関して、実験的に次のようなことが示されています。
すなわち、あることを教える場合、電気的刺激などによって好ましくない行動を罰するよりは、
餌の助けなどを借りて好ましい行為に報いてやるほうが、はるかに短時間で成功できるのです。この現象は生後15日の子犬に於いてさえ見られるのです。神経系統の中心部に、喜びや幸福感を持っているのは人間ばかりではありません。
 では、どういう方法で犬に報いてやるのか!愛撫か餌かり・問題はもっと複雑なのです。
最も効果的な褒美はビスケット、チーズ、肉片などであり、よいことをしたらすぐに与えます。そして、餌を徐々に愛撫とかやさしい言葉に置き換え、餌は次の段階を教えるためにとっておきます。


しつけは胃袋により記憶されるのです!


 人間と犬とのきずなを作るために食物は絶対欠くことのできないものではありませんが、安易な手段であるため、なしですませることは難しいのです。言葉だけで褒めるのは不十分ですが、手で報いてやる、つまり愛撫は、飼い主と犬との関係に於いて、声よりもはるかに大きな効果をもたらします。飼い主が犬の傍らにいる、という事実がすでに褒美と受け取られることが多いのですが、やさしく、熱烈な愛撫はさらに効果的です。
 餌をやるとか愛撫するなどの行為は、日常的に犬に与えられる褒美、すなわち、よい行動を肯定的に強化するものですが、ほかのいくつかの行為が予期に反して、蒔々肯定的強化の役割を果たしてしまうことがあります。食卓でねだる犬をおとなしくさせようと残りものをやる行為は、犬には褒美と受け取られ、おねだり、という行為を肯定的に強化することになります。
犬の要求が常に報いられるわけではありませんが、いくつかはそうなります。自転車を追いかけるのは自転車が消え去ることで報いられるのです。犬が扉を引っかけば、場合によっては開けてもらえるでしょう(訳注上記2例も肯定的強化である)。このように、時々報いられる行為を、その原因となっている肯定的強化を完全になくさないでやめさせることは非常に難しいのです。

また、それをやめたとしても、この行為が長い間続くことがあります。

しつけをうまく行うために強調したいことは、ある特定の行為のみに褒美を与えることです


もっとも、このやり方で、犬の感情を変えることはできません。たとえば、あなたの犬がほかのに対して大変攻撃的であったとして、今まで述べた考え方でその感情を変化させることは不可能です。ただ、いくつかの状況に於いて、犬が噛んだり吠えたりしないように教えることは可能です。犬の感情より、行為そのものを問題としてください(パブロフ流の条件反射は精神状態を安定させる効果はなく、ホメオパティi療法が有効である)。
(訳注類似療法。健康な人間に与えると患者と同じ症状を示す薬物を少量、患者に服用させるという治療法で、ドイッの医師ハンネマンにより提唱された。ここではおそらく、軽度の刺激1たとえば他の犬に遠くから会わせるなどーを徐々に強い刺激に変え、犬を慣らすことを指していると思われる)好ましくない行為を罰するより、よい行いに報いてやりましょう。子犬が明らかに好ましい行動をしている時をとらえ、褒めてやってください。
では、悪いことをしていたらどうするのかり・もしその行為が他人を害したり、余程ひどいものでとても我慢できない場合以外は、それを無視するのです。
一般的にいって、犬がひとりで遊び、人に迷惑をかけず静かにしていれば、それが普通であると思って、誰も注意を払いません。したがって、犬の行為は報いられないので犬はそれをやめてしまう傾向があります。逆に、食卓でねだったり、靴に小便をする、扉を引っかく、本を遊び道具にするなどは迷惑ですから、飼い主の注意を引くこととなり、時には報いられ、あるいは罰せられます。


犬があなたの靴を噛む、あなたは追い払う。犬は再度同じことをする、あなたが立ち上がると犬が逃げるので追いかける......。こうして犬は報いられているのです。なぜなら鬼ごっこ遊びができるから。あなたは犬に追いつけず、罰を与えられません。犬は人間より速く、すばこいからです。犬にとっては二重の勝利となります。


犬はもちろん、罰せられるより褒められることを好みます。しかし、自分に対して無関心でいられるよりは罰を受けるほうを好む場合があります。ですから、奇妙なことに、子犬にとつて罰は褒美になることがあるのです。つまり、あなたは靴に小便をしたり、本を噛む、食卓でねだるなどの行為を、それに気づかず奨励していることがあるのです。子犬は周囲の関心の的となりたくてマゾヒストの真似をするわけです。

犬が絨毯の上で小便をする。それを見たあなたは犬をつかまえ、小便の中に鼻づらをこすりつける。続いて尻を叩き、新聞の上に犬をおき愛撫してやる。何匹かの犬は、新聞の上で用を足すのだ、とすぐ理解するかもしれません。しかし、別の犬、おそらくもっと賢い犬は、注意を引くには新聞紙を無視して絨毯の上に排泄するに限る、と考えます。これらの犬はあなたのやり方が間違っていたため、不潔で人から好感を持たれない犬になってしまうのです。
この例によって、教育においては相手の個性を尊重しなければならず、ある犬にとって有効な方法が、ほかの犬にとってひどい結果をもたらすことがおわかりになったでしょう。
好ましい行為には変わらぬ態度で肯定的強化を与え、好ましくない行為に対して、時々報いてやって強化したり、時によって罰したり罰しなかったりしないよう、全力を尽くしてください。

同じ行動に対して、ある時は報いたり、別の機会にはそれを罰したりすると、しつけがうまくいかないばかりか、犬は神経症になったり、異常な行動をとるようになることもあります。