子犬選び
子犬1匹を選ぶのに、どれだけ時間をかけますか?ペットショップの前や市場を散歩していると、哀れっぽい目つきをした小さな毛の塊があなたの気を引いたので、それをあなたは購入します。この決定をするのに、ほんの5分程度しか費やさずに、これから10年ないし15年、あなたの生活は束縛されることになるのです。
あなたは、相当高いお金を払ったあげく、今後めったに見たりはしない、純血種の証明となる血統書のために追加料金を支払いました。健康証明書と予防接種証明を確認しましたか?
それとも、いくつかの助言を求めるため、獣医、あるいはブリーダーに電話してみましたか?ブリーダーを統括している畜犬協会に電話し、役に立つ住所を聞き出しましたか?
少し時間をかけただけで、あなたは子犬の飼い主となったわけです。でも、犬が主人なのか、それともあなたがそうなのかわかっていますか?犬は出世主義者で、もし好きなようにさせると、あなたの生活はじきに辛いものになりますよ。散歩の時、引き綱でリードするのは、犬なのですか、それとも飼い主ですか?
品種、性別、年齢などはあなたが決めたのですか、それともブリーダーかペットショップにすべて任せたのでしょうか?子犬を選ぶ前に、犬の気質、将来の性格、そして自分の教育者としての資質をよく考えてみましょう。
このお嬢さんは、素晴らしく元気のよいムク毛の玉のような生後2か月のグロネンダールを購入しました。その2か月後、彼女は再びペットショップを訪れ、グロネンダールがあまりにも攻撃的という理由で小型のプードルに取り替えてもらいました。さて、プードルも甘やかされ、ひどい悪さをしても罰せられず、おまけに彼女の弟が意地悪をしたものですから、4か月後にはもう人を噛むようになり、家族全員を支配してしまいました。さらに悲しいことには、ジステンパーにかかり、ほどなく死んでしまったのです。
衝動とかゆきずりの感情で、あなたの人生を15年間も束縛してはいけません。犬が大人になった時の状態をよく想像してみるのです。子犬は人の心を動かすものです。生後5週目のグレートデンは簡単に大きめのポケットに入りますが、1年たって、あなたが引き綱で引いている犬は本当の巨人なのです。
今までサイトで学ばれたのですから、検討しなければいけないいくつかの点を想像できると思います。まず、母犬を観察しましょう。そして母犬がどういう状態で妊娠生活を送ったか、その間に輸送されなかったかどうか、不安に感じていることはないかなどを問い合わせます(まず、母犬が最初の教育を行うので、子犬は母犬に似る)。
社会性を身につけさせるため、どのようなことがなされたのか訊いてみましょう。これはペットショップでは不可能で、どうしてもブリーダーを訪れなければなりません。ついで犬舎を観察しましょう。犬はどんな具合に取り扱われていますか。犬たちは毎日いじられていますか、それともブロイラーのように餌が与えられているだけですか。
生後何日かたった子犬を半メートル四方の平らな場所におき様子を見ます。あちこち動き回り母犬を追って鳴く犬や(外向性を示すよい反応)、場所の中心に座って鳴く犬(内向的)、また適度に歩き回る犬もいるでしょう(粘着質)。この試験を1日に数回行います。犬は腹がいっぱいになると眠りますし、空腹だとよく活動するからです。
この試験は生後5〜14週の犬をこれから入手する飼い主ではなく、ブリーダーが行うのが理想的です(最適の時期は生後6〜7週)。
様々な目的に適した犬、特に新しい飼い主の生活方法、家庭環境にふさわしい犬の選定を助けるため、子犬の試験方法がいろいろと考案されています。実際のところ、幼い子供のいる家に支配性の強いリーダータイプの犬や攻撃的性格の犬を連れてくるのは適当ではありませんし、番犬にするのに従属性の強い犬を選ぶのも不適当です。
キャンベル先生が開発した子犬を選ぶ試験方法は大変興味深く、誰にでも行うことができるものです。
子犬に近寄って、犬の反応を見ましょう。あなたのほうに寄ってくる犬は社会性のある犬ですし、離れる犬はその性質のない犬です。誰にでも近寄り、大騒ぎする犬は一生そうでしょうし、ひとりで自分の場所にいる犬は独立心が強い性格です。
子犬1匹と、犬の知らない場所に行って(このため、ブリーダーの最低限の協力が必要です)、次の5つの試験をしてみましょう。
犬を試験場にそっとおき、一言もしゃべらず犬から遠ざかり、ついでしゃがみ、注意を引くため手を叩きます。次ページの表を参照してください。尻尾を立て、あるいは下にして近寄ってくるか、それとも来ないか。前足を出す、あなたに飛びつく、手を噛もうとするなど、すべての態度が攻撃性、従属性、独立性を表しているのです。
もし、子犬が尻尾を低くして遠ざかったら、独立性が強い、と結論づける前に、はたしてこの犬が人間に対する社会性を身につける訓練を十分に受けているかどうか疑ってみてください。
つけ加えますが、これから犬がなつく相手はあなたであり、ブリーダーではないので、この試験はあなた自身がやるのです。
キャンベルの原書では鋤巨としている。前者は「攻撃性」、後者は「支配的リーダータイプ」とでもいうべきで、両者は必ずしも同一の概念ではない。支配的な犬がすべて攻撃的ではないが、その可能性が強いので、本書では「攻撃性」という用語を用いていると考える。
なお、フォーグル博士の著作によると、彼自身の体験とヤングの実験から、幼い時に調べられた性格が必ずしも成長後そのまま残るものではない、としている。ただし、犬は環境の影響を大きく受けるので、実験の対象となった犬たちが同じ育てられ方をしていなければ、この実験の持つ意味は少ないであろう。しかし、幼い時攻撃的であった犬は、成長してもその傾向ははっきり観察されるとしており、同伴犬の場合、この性格が一番重要なので、犬のしつけにおいて、本テストは有効であると考える。
②人についてくる性質
犬をあなたの脇におき、ついで立ち上がり、肩越しに片目で犬を見ながら通常の歩調で立ち去ります。犬はついてきますか?尻尾を上げて、それとも下げてり・あるいは足の間に走ってきて噛もうとしますかり・自分の場所でじっとしているままですか?
③束縛された時の支配性
ひざまずき、犬を伏せさせ、ついで引っくり返します(「服従の姿勢」、40ページ参照)。30秒間、そのままの姿勢を保たせます。子犬は身を守ろうとして叫び、大暴れし、噛みますか、それともすぐ静かになってあなたの手をなめますか?あなたの支配を受け入れるか否か、それと同時に、能動的防御(攻撃性)、もしくは受動的防御(臆病〉のいずれの反応を示すかがわかります。
④社会生活に於ける支配性
ひざまずき、犬の頭のてっぺんから背骨に沿って下のほうまで軽く叩いてやります。同じ部分の毛を逆撫でしてみます。支配性の強い犬は下位者の首筋に前足を乗せるものですから、あなたもそれを真似るのです。もし犬がそれを受け入れたなら、あなたの権威を認めたこととなりますが、暴れて飛びかかり、前足を突き出し、稔り、噛むかもしれません。このテストを30秒行い、よく性格をみてください。
⑤持ち上げられた時の支配性
手を犬の胸の下で組み合わせ、犬の足が地面から離れるように犬を持ち上げます。そして30秒そのままにします。犬はまったく自由がきかず、あなた次第となってしまうのですが、その支配を受け入れますか、それとも拒否しますかり・犬を地面におき、得られた結果を表に書き込みましょう。
結果を合計してみます。どうでしたか?
2つあるいはそれ以上のddに加え、複数のdの子犬は支配性が強く攻撃的です。優しく取り扱い、決して殴ってはいけません。体罰は攻撃性を強めることになります。また、いたずらをしたりいじめてはいけません。ですから小さな子供のいる家庭には不適当です。やさしく、しかも断固とした態度(ビロードで覆われた鉄の手)によりしつければ、将来、危険のある場合はあなたを防御してくれるでしょう。ただ、この種の犬は万人向きではありません。
3つもしくはそれ以上のd。支配的な犬です。もし甘やかして、好き放題にさせると手がつけられなくなります。この犬はやさしく、しかも断固とした態度で取り扱うべきです。子供のいる家庭向きではありません。
3つもしくはそれ以上のs。比較的均衡がとれた犬で家庭向きです。従属的すぎたり、過度に攻撃的でもありません。問題のない犬といえるでしょう。
2つもしくはそれ以上のssに加え、1つあるいは複数のi。大変に従属的な子犬で、非常にいたわってやる必要があります。叱責に対し特に鋭敏です。あまり罰すると、服従の失禁を力だったり、まったく関心のない様子でしょうか?
猫にも会わせてみましょう。ブリーダーによっては、犬の猫狩り問題をよく知っており、できるだけ相互理解を深めようと猫を一緒に飼っています。
以上の試験が絶対的なものではありませんが、大騒ぎをしたり、社会性が欠如している犬を避けるには役に立ちます。そうすれば、しつけもより簡単ですし、やりがいがあるでしょう。
犬のしつけは容易ではありません。犬のあらゆる性質を利用すべきです。
当然のことですが、あまりにも従属的であったり、特に支配的、極端に独立性が強い、臆病で粘着質だったりする犬ではなくて、均衡がとれ、社会性が最大限に強く、攻撃的でない犬をおすすめします。こういった子犬は、自分の好みを表しますが、大騒ぎしないであなたの友人を歓迎するでしょう。
人によっては、噛む犬、訓練の難しい犬を好み、独立性の強い、出世主義で、支配的、喧嘩早い犬を探し、力と闘争についての好みと技術を教えたりします。そのような悪趣味な人が一番先に噛まれればいいのですが......!