子犬を迎えるには
子犬をしつける場合、家庭に連れてこられることは犬の一生の中でひとつの重大事なのですが、飼い主たちはそれについてあまり頓着していません。しかし、場合によっては、この経験に於ける緊張がその後の問題ある行動の原因となりかねません。犬によってはしつけがまったくうまくいかなくなるのです。なぜなら、飼い主宅に到着後の数時間、恐ろしい暗闇の中で耐えがたい孤独にさいなまれたり、あるいはいつ果てるとも知らぬ車の長旅などが犬を参らせてしまうからです。
もし子犬を自分で育て、しつけるつもりなら、家に連れてくる理想的な時期は生後5〜7週の問です。すでにご説明したとおり、この年齢に於いては、社会性を求める欲求が最も強い時期で、同時に社会性を避けようとする傾向は一番少ないからです。
十分な時間を割いてやるために、週末、あるいは夏休みなどに犬が到着するよう計画を立てます。犬が家族や新しい環境に慣れるまで訪問者には遠慮してもらい、子犬が邪魔されないように考えてください。
このような突然の環境変化母犬や兄弟姉妹から離れ、完全な離乳状態になり、見知らぬ環境に連れてこられ、親犬たちや遊び相手ももういない、夜はひとりで過ごす、などのことが子犬にとっては大変なストレスであり、このために数時間、食欲を失うことが多いのです。
食欲が回復すれば環境に順応してきたというよい徴候です。食欲不振は病気の兆しであることが多いので注意を払い、もし24時間たっても回復しない場合は獣医師に相談しましょう。
この環境の変化以上のストレスを想像できますかり・もし何回かあなたがブリーダーのところに足を運び、前もって犬と顔なじみになっていれば、どんなにこのストレスが軽減されることでしょう!また、自分のにおいのついたタオル、兄弟や母犬の体臭の染み込んだ玩具があれば、どれだけ気が休まるでしょう!こういったことも考えてやってください。
もし、家に年上の犬がすでにいるとすると、問題は多少複雑になります。先住者は攻撃的になったり、不機嫌になるかもしれません。そしてショックを受けて、あなたの関心を求めるため、特殊な行動(お漏らしをする、たくさん食べるなど)をしたり、神経障害の結果、皮膚病や、後ろ足が麻痺するヒステリー症状を起こす可能性もあります。怒り、嫉妬、落胆、悲しみを示すこともあるでしょう。
彼らが相互にうまくやっていくために、ヴォルマーは、1つの法則と3つの条件を整える必要がある、といっています。
3つの条件
●2匹とも健康であること。
●2匹とも社会性を身につけており、精神的に均衡がとれていること。
●これから起きるであろうことを理解する飼い主の知性。
1つの法則
●熟考の上、飼い主が干渉しないこと。
これらについて説明しましょう。
まず初めに子犬が幼ければ幼いほど先住者とうまくいくということを理解してください。ま
た、以前から犬同士が知り合っていれば、より円滑に事は運びます。したがって、2匹のいず
れかにとっても縄張りでない場所であらかじめ何回も会わせ、年長者の支配を確立する方法を
フォックスは勧めています。
子犬を連れてくる前に、前からいた犬を友人のところで10時間ほど預かってもらうのです
(ヴォルマー)。こうすると次の利点があります。
●あなたは子犬にすべてを集中できる。
●子犬は他の犬に邪魔されず新しい環境になじむことが可能。
●数時間の留守の後には、先住者の縄張り意識が減じる(攻撃性、わざと小便をするなど)。
さて、ひとたび2匹が一緒になったら、よく監視しながらもよくよくの場合でなければ干渉
してはいけません。2匹の犬が同居するのならば、彼らの問に社会的階級が樹立しなければいけないのです。これは犬の身振りで達成されます。
一般的にいって、先にいた犬が脅かし、稔り、子犬の首を噛んで引っくり返します。子犬は服従の姿勢をとり、年長者の支配を受け入れるのです。このことは犬たちが均衡のとれた社会性を身につけており、文字通り狂犬ではないということが条件です。先にいた犬は子犬を噛み、多少は痛くするでしょうが、成犬は通常、子犬を本当に攻撃はしないものです。飼い主が子犬を引き離したり慰めてやったりすると、階級の確立が損なわれますからやめるべきです。
常時、元からいる犬に優先権を与えてください。最初に撫でられる、引き綱をつけられる、
最初に出してもらえる、餌を先に与えられる、車に真っ先に乗るのは古くからいる犬です。挨拶を最初にする犬、先に遊んでやる犬は元からいる犬なのです。これらが支配階級の受けるべき尊敬と優先権ですから、あなたはそれを尊重しなければいけません。
餌は同時に別々の場所で与え、容器が空になるまでは2匹一緒にしてはいけません。最初の数日は、不安と競争心から2匹とも早く食べ、もう一方の食物を盗もうとします。たくさん食べる結果、吐いたり、下痢を起こすこともしばしば見られます。
初めの数日、先住者の優先権を尊重しながらも子犬のしつけに専念し、社会性を身につけさせる訓練を行ってください。いつも、子犬がどこにいて何をしているか注意してください。最初の48時間は、子犬にとって長く記憶に残ります。楽天的にも厭世的にもなるし、愛情を感じる一方、放置されているとも感じるのです。悪い習慣を矯正するより、よい習慣を教えるほうがはるかに簡単です。
次に示す注意を今一度お読みください。
①前からいる犬を友人のところで10時間程度預かってもらう。
②車で子犬を運ぶなら、自分の脇におくか膝の上に乗せる。もし車に酔っても、素知らぬ
顔をして吐いたものを片づける。
③家に到着したらトイレに連れていく。
④ついで部屋に入れる。
⑤ブリーダーのところと同じ時間に食事を与え、数日は同じものを準備してやる。食器は
便所に通じる扉のところに置く。
⑥子犬が新しい環境に少しなじんだら、元からいる犬に会わせる。
⑦犬たちをよく監視するが、極力介入はしない。階級が定まるままにする。
⑧常に支配者を優先し、その地位を守ってやる。