犬 犬のしつけ 子犬のしつけ方

犬との対面

さて、子犬のしつけの始まりです。

子犬が新しい世界にやってきました。
ブリーダーはするべきことをすませ(本当にそうだとよいのだが)、これからはあなたが子犬に社会性を身につけさせ、正しいふるまいをさせ、あなたが与えた人工的環境を尊重するように教えなければいけません。そのために数日を費やさなければいけませんが、犬の一生を通じて、その報いが得られるのです。


孤独
自然界に於いて、群れから離れた子犬は、鳴き、吠え、遠吠えをします(悲嘆の声)。枝などに引っかかった時は、群れとの合流を妨げるものを取り除こうとしたり、噛んだりします。
この動作は生き延びる機会を増大させるものです。したがって、ひとりぼっちにされ、不安や退屈になった犬は、当然のことながら壊し、かじり、引っかき、遠吠えし、排泄をして汚れ放題になります。この歳ではまだ復讐をしているのではなく、孤独によるストレスからくる感情の高ぶりを発散しているのです。

これらのトラブルを回避させ、犬が非社会的行動を学ぶ機会を少なくするために、何も壊すことのできない橿、小部屋、あるいは犬小屋などに子犬を慣らしておくのはいいことです。何人かの人はこのやり方を残酷だと評しますし、10時間も閉じ込めれば確かにそうでしょう。

しかし、生後数週間の子犬を閉じ込めておくのはせいぜい2〜3時間に留めておくのです。

もっと長くおいておくのなら、トイレのある広い場所でなければいけません。数週間たったら、不在の時間を3時間から6時間、8時間に延ばしていきます。
犬が成犬になった時のことを考えて橿を選び、子犬を橿に慣れさせます。まず食器を橿の戸口に近づけ、数日後には中に入れ、犬が食べている間は扉を閉めます。食事が終わると犬は出たがって、吠えたり引っかいたりします。その時は強い声で叱りましょう。犬が静かになったら優しい声で褒めてやり、しばらくたってから出してやります(犬が憤慨している時は出さないこと)。この時、犬が橿を早く離れないよう、急がないようにしてください。このやり方を食事時間以外にも実行し、ひとりでいる時間を徐々に長くします。犬が1時間以上じっと静かにしているようになるまでは、家をあけてはいけません。犬が橿に入るたびに褒めてやり、鶴るものを与えます。


犬が橿に慣れて、もし橿が折り畳み式のものであったら、車の中、ホテルなど、どこへでも持っていきます。犬は橿の中を自分の場所だと感じ、喜んでそこに残るでしょう。
夜中にひとりでおくと犬が鳴いて、あなたにとって確実に辛い夜となります(だいたい2〜3夜)。しかし、これが家族に犬をなつかせることでもあるのです。夜ひとりになると、昼間一緒にいた人々に会いたくなるわけです。問題を避けるため、あらかじめ隣人に挨拶をしておきましょう。
もし、鳴き声が耐えがたかったり、子犬に辛い思いをさせたくないのなら、寝室に連れていきますが、ベッドに入れてはいけません。この方法をとれば、犬の排泄行為によく注意できるので、結果として早くこの問題を教え込むことが可能です。犬はあなたがいるので安心し、鳴くことも少ないでしょう。少したったら、犬の寝床を扉の近くとか廊下に置く段階的類似法をとります。
ベッドには決して入れてはいけません。犬によっては自分の場所だと思い、2歳くらいの成犬になると、飼い主に乗りかかったり、自分の場所を確保するため、稔って飼い主を外に追い出したりします。
犬を橿、犬小屋、小部屋のいずれかに入れる、あるいはひとりで夜を過ごさせるなどの問題は別にして、いずれにせよ一番の気がかりは、やはり排泄の問題でしょう。

トイレのしつけ
この問題は、犬がご主人によって購入され、世話は奥さんに押しつけられるのであれば、ますます重要でしょう。といって、あなたの教育者としての才能がそれほど試練にさらされるわけでもありません。実際、大部分の犬はこの問題についてすみやかにしつけられますが、それは飼い主の努力というより、生来の性質によるものなのです。
社会性を身につける危機的時期の間に、子犬は会陰部を刺激されなくても排泄することを大変早くから覚え、8週目頃から、寝床と食事場所からある程度離れた自分固有の特定の場所でその行為を行うようになります。
先に進む前に、まず排泄の目的を考えてみましょう。こう問いかけると、読者は驚かれるでしょう。
排泄行為は、体内のかすを排泄するばかりでなく、人間社会の名刺のように、社会的交信の手段でもあるのです。糞や尿に含まれるある特殊な物質は一般的にフェロモンと呼ばれていますが、これは他の犬に感知可能で、それを排泄した犬の年齢、性別、気質、そして排泄時間がわかってしまうのです。さらにこのにおいのつけられた場所は、そのにおいによってなされた質問に答えるべきところとなります。


(体外に排泄される一種のホルモンで、一例を挙げれば、それを嗅いだ犬に縄張りをしるす排尿などの行為を誘発させる)
巣を清潔に保つ習慣は天性のものです。子犬は膀胱が弱いか、病気(病的尿失禁、膀胱炎など)でない限り、お漏らしすることはありません。犬は段階的に、直腸、膀胱の括約筋を制御するすべを学びます。

さて、自分の寝床を汚さないとしても、犬にとって、応接間や寝室が排泄に理想の場所ではないのだということは明白ではないのです。したがって、最初は犬がすみかと見なすところを限り、徐々に拡大していって、最後には家全体が犬の住居で、汚すのは好ましくないと考えるように仕向けなければいけません。
家を清潔に保つためには、子犬を頻繁に外に出すべきです。可能なら戸外で、家からあまり遠くない特定の場所を選びます。その場所は清潔にしておき、たくさんの糞を残すなど不潔にしてはいけません。もしそうすると、犬はその場所を避けるか、糞を食べるようになります。自分のつけたにおいを見つけると、犬は便意を催し、そこで排泄し、その場所を便所に定めるものです。犬は慣習を保持することを好む動物なのです。


同じ場所にたびたび連れていってください。もし用を足したら、犬の邪魔をしないよう、優しい声で褒めてやります(「おしっこ」など、いつも同じで簡単な言葉をかけてやると、やがて命令と受け取られ、旅行に出発する時など大変役に立つ)。犬が用を済ませたら、よく撫でるか餌をやり、犬があなたの期待に沿ったことを教えてやりましょう。朝、夜遅く、食後、水を飲んだ後、遊んだ後、目を覚ました時、骨を翻った後や、ウロウロしたり呼吸が早くなったり、イライラした様子の見える時などはすぐ連れて出ます。
最初の数時間は子犬から目を離さず、ちょっとでも「名刺を置きそう」になったら、あらかじめ定めた場所に連れていきます。こうすれば、2日程度で覚えるものです。

があまりに幼いと、まだ排尿便をこらえることができないので、このしつけには多少時間がかかる。
また、雌犬のほうが早く覚える傾向が強い。また不潔な環境のブリーダーのところで育てられた犬に、トイレのしつけを教えるのは難しい)外に出す時は決まった戸口を利用します。また、排泄した後でなければ、散歩をさせたり遊んでやったりしてはいけません。そうしないと、いろいろな口実で常に外出したがります。


外に出たい時に吠えるように仕向けてはいけません。吠え声はあてにならないものですし、ほかのよくない習慣をつけることにもなりかねません。外へ出たい時、子犬は扉の前に座り(このため、出す戸口を決め、習慣を保持させる)、クンクンいいながら前足で扉を引っかきます。この行為を褒めてやり、褒美を与えましょう。しかし、子犬に6時間連続で我慢させてはいけません。
もし子犬を頻繁に出してやれない場合は、新聞紙の上、あるいは浅い箱に用を足させることも可能です。寝床と食事場所から離れた所に、新聞紙を重ねて置きます。そして、外で用を足させるのと同じやり方をします。新聞を交換する時は、下にあるものを次回は上に置き、フェロモンのにおいによって排泄の反復を促します。決まった場所でするようになるまでは、家中を歩き回らせてはいけません。
段階的類似法を利用して新聞紙を徐々に戸口のほうに近づけ、ついには戸外に置き、外で用を足させることも可能です。このやり方をすると飼い主は夜中によく眠れるでしょうが、しつけが完成する象でに時間が余分にかかります。


新聞紙を使用することは不可欠な解決策ではありませんし、次の理由により別の問題を引き起こす可能性もあります。社会性を身につける段階で、子犬はいくつかのものや排泄の場所に対する嗜好をはぐくみ、それに一生執着する可能性があります(刷り込み)。こういった子犬は散歩に連れ出しても用を足さず、何時間も我慢したあげく、家に帰って新聞紙の上で排泄するようになるのです。他方、新聞紙に吸い取られたフェロモンは床や壁に飛散し、それがまた子犬を誘うことになります。
子犬の排泄のしつけに関し、よくいわれている神話に、子犬の失敗を何としても罰することだ、というのがあります。「先生、犬が粗相をした時は鼻をその中に突っ込み、新聞を丸めて引っぱたきます」......。

生後2〜3か月の犬はおおよそ3歳の子供に匹敵するのです。もし、あなたのお子さんがお漏らしをしたら、小児科医に「先生、うちの子の顔をその中につけ、尻を引っぱたいてやります」とあなたはいうでしょうかP人間と比較して考えると自ずと答えは得られるでしょう。
現場をとらえ(可能なら間接的手段に訴え)ない限り、糞便のしつけに関し、体罰はほとんど有効ではありません。体罰が有効であるのは、おそらく条件反射的な状況を作り出し、それと家の中の排泄を犬が結びつけるからです(ハート)。
体罰に本当に固執するなら、犬が排泄しそうになったら、犬が飛び上がるほどの声を張り上げ、それで効果がなければ、靴、本、その他何か音のする壊れないものを犬に放り投げます。
そして、ただちに所定の場所に連れていくのです。必ず現場をとらえ、模範行動を示してやってください。犬が正しい所で排泄したら、大げさにならぬ程度に褒めるのを忘れないように。

頭の隅にタンツァーの次の言葉を置いておきましょう。「罰と褒美にあまりに固執することは、かえって、してはいけないことをするように犬に教える場合がある」。
犬は本当の意味のマゾヒストではありませんが、自分に注意が向けられることを必要としており、ましてや犬が大いに甘やかされている場合はその傾向が強いのです。犬はこういったことに関して、まったく悪賢く、立派な演技者です。ですから、大したことでなければあまり深刻にとってはいけません。


食事は決まった時間に与えましょう。そうすれば、腸の動きが規則的になり、排便の時間が予想できるようになります。子犬には十分な食事時間(約20分)を与えてやり、毎日同じ時間に(犬の年齢に応じ回数を加減する)、しかもあまり内容を変えないでください。食後は外に出し、排泄を待ちます。
平日でも週末でも、食事や散歩などの時間を変えてはいけません。日頃、食事や運動の時間をめちゃくちゃにして、どうして敏感な膀胱や腸の働きを時間通りにすることができるでしょうか!

犬などは運動をさせると腸の動きが活発になり排便するものである)ちょっとしたおやつは禁物で、間食させてはいけません。もし便が軟らかかったら、食事の
量を1割減らし、便秘気味なら1割増加してください。
平日にもし長時間留守をするなら食事も水もやりません。極端な場合、食事の時しか水をや
らないのです。
夜や留守の問、何も壊すもののない場所(橿、犬小屋、小部屋など)に犬を閉じ込めますが、
その前に必ず用を足させます。最初のうちは3時間が限度です。
もし排泄されてしまったら、同じ場所で再びしないように、フェロモンのにおいを消す必要
があります。その場所を洗い、犬にとって不快な新しいにおいをつけるのです。アルコール、
防臭剤、酢酸などは大変有用です。

●トイレのしつけの要点
①決められた時間に食事をやり、間食は禁物。
②便所としてーか所のみを決める。
③目を覚ました時、食後、飲水後、興奮した後あるいは遊んだ後、何か欝った後、

  ウロウロした時はその場所に連れていく。
④決められた場所に排泄したら褒美をやって、よく褒める。
⑤決められた場所以外でしてしまったら興奮せず、犬に見られないように始末する。

  罰を与えてはいけない。あまり深刻にならないこと。
⑥わざと失禁したなら(早急にそうであると決めてはいけない)、犬のいない時に洗浄し、
   新しいにおいをつける(防臭剤、アルコール、エーテルなど)。犬をその場所に連れて
   いってにおいを嗅がせる。もし犬が逃げたら、褒めて撫でてやる。あるいは、あまり効
   果がないように見えたら、そのにおい消しを綿に染み込ませ、犬の口に押し込むかスプ
   レーで鼻にかける。犬が逃げたらうんと撫でてやる。
⑦平日あなたが留守をする時間があるなら、あらかじめ犬が排便を我慢するよう訓練する。
    犬が排便したいようであったら、気をそらせる。週末は、平日に留守をする時間帯に、
    排便に誘ってはいけない。
⑧右記の時間帯に犬が十分我慢できないなら、その間は食物、水はやらない。極端な場合、食事    時  以外は水をとり上げてしまう。
(キャンベルは、排泄物を飼い主が片づけるところを犬が見ると、褒められている、と解釈するとの説を提唱している)

服従の失禁
生まれたばかりの子犬は、母犬に会陰部をなめられると排尿します。生後3〜4週目になる
と、自分が排尿しながら伏せの姿勢をとることと、母犬の支配的な立像を結びつけるようになるのです。このように、排尿は幼さ、弱さ、そして服従の象徴なのです。この傾向は、支配性
の強いより、従属的、あるいは臆病な犬に強く見られます。これは、感情
の高ぶり(飼い主の帰宅など)、もしくは支配を受ける(体罰)などの状況下に於いて、感受
性の高い犬により、反射作用で無意識のうちに行われるのです。
もし、失禁が、主人たち、あるいはほかの人に会う喜び、興奮からくるなら、
●失禁の起きそうな時は毎回、犬の熱烈な歓迎を受けず、無視する。
もし、失禁が、むしろ飼い主の支配に対する過剰反応であるなら、
●犬に挨拶する時はしゃがむ(立位は支配的である)。
●愛撫する時は、掌を上に向け、顎から胸を撫でる(首筋、頭、背中を撫でるのは支配的と
 犬には感じられる)。
●もし、犬が無意識のうちに失禁しても、絶対に叱ってはいけない(罰こそが、支配の極限
 である)。
●静かな声で話しかける(大きく、低い声は支配的である)。
●失禁が起きた状況に再び犬をおかないこと。犬に自信を与える(服従失禁は自分に自信の
 ない場合に起きやすい)。
●それでもしてしまったなら、無関心を装い、立ち去る。犬がついてきたなら、排尿をやめ
 たことであるからうんと褒めてやる

 

この感情的反応は恐怖の場合も起き、糞をしたり、肛門分泌線分泌を伴うこともあります。
非常に臆病な犬を診察台に持ち上げると、この現象が生じるのを、獣医師はよく経験することがあります(犬が宙に浮いて持ち上げられたり、服従の姿勢をとらされる場合など)。