犬 犬のしつけ 子犬のしつけ方

犬を行儀をしつける

子犬が家に到着してからの数日は、トイレの始末の問題で常に犬を監視することになります。
飼い主、場合によってはその財布にも損害を与えると見られるいくつかの行動を将来にわたり
避けるために、この数日間、そしてそれに続く日々を、有効に費やさなければならないのです。

おねだり
犬にはあなたとは別の時間に食事をやり、人間の食事中にねだることを絶対に許してはいけません。犬は鳴いたり、鳴くふりをしたり、あなたに擦り寄って腕に鼻づらを擦りつけるでしょうが、譲ってはいけません。これを守れば、あなたに対してはこのようなやり方は役に立たないことをじきに理解します(ほかの人で試してみることくらいはするであろう)。友人たちに、あなたのしつけ方法を台無しにしないよう、あらかじめ頼んでおきます。もし誰かが、「静かにさせるため」、もしくは「ただの1回だけ」を口実にして一度でも何か食べ物を与えると、猛烈な悪影響を及ぼします。なぜなら、その行為は「断続的報奨」であるため、一度なされるとそれを払拭するのに非常な困難を伴うからです。「予防のほうが治療より容易である」ということを、何度繰り返しても十分とはいえません。
おねだりしない犬はレストランにも友人の家にも連れていけますし、犬の静かな態度は称賛の的となるでしょう。おねだりをする犬は神経に触りますし、人に預けることもできません。
あなたの態度を犬が来る前にはっきりさせておくべきです。来てからではたぶん遅すぎるのです。
もし、海岸や森で犬を放す場合、周りの人をよく見ましょう。もし誰かが何か食べていたら要注意!子犬はそれを見てその人のほうに行き、間違いなく何かをもらうことになるでしょう。そうなると、しつけはめちゃくちゃになってしまいます。
しかし、犬のおねだりを矯正するのは難しいことです。犬がねだると電気首輪が作動したり、外見は美味に見え、中にこしょう、多量の塩、酢、苦味を入れたものをやり、おねだりすると不愉快なことが起きると教えるのも効果があるでしょう。毎回、不快な現象が発生すれば、犬は繰り返さなくなります。
(訳注電気首輪については32ページ参照。訳者はこの程度のしつけに使用すべきではないと思う。また、まずいものを食べさせて効果のある犬もあるであろうが、のみ込むようにして食べる犬にはまったく効果がない)
この問題で一番効果的で自然な方法は、やはり「絶対に譲るな」です。もし、食事中に犬が吠え、あなたが消化不良を起こしそうなら耳栓をしてください。報いられない行為は遅かれ早かれ消え失せます。おねだりする習慣がどれほど前からついているか、犬とあなたの粘り強さかげん、犬の社会的性格(従属的な犬はむしろ盗もうとし、支配的な犬よりねだる回数ははるかに少ない)、そしてあなたの教育者としての一貫性などにより、このしつけの成功は遅くもなるし、早くもなるのです。
おねだりと同時に拾い食いもやめさせれば、食中毒が防げます。猫いらず、不凍液、殺虫剤などがこれまで毎年、どれだけの犬を殺しているでしょうか。
これらのしつけはいろいろな利点をもたらし、いつ始めても遅すぎることはありません。
しつけると決めた事項の一覧表をまず作ります。おねだり、長椅子に乗る、靴を鶴る、スリッパを壊す、無駄吠えする、人に飛びつく、電気コードを蓄る、など。これらの行為をわざと無視するか罰する一方、食事中静かにしている、自分の寝床で寝る、骨を趨る、誰かが家に近寄ると一度だけ吠える、来訪者に飛びつかない、ひとりで玩具で遊ぶなど、よいことをしていたら常に褒めてやることです。

物を留る


定められた場所で用を足すこと以外に、子犬は主人のものを壊さないことを学ばなければいけません。玩具、絨毯、靴、置物、洋服などです。
犬は噛む機械です。自然界の進化の過程で、若い狼は新たな食物を求めるため、自分の周囲にあるものを口で探索するようになりました(1歳前後の小児も同様)。
餌をふんだんに与えられている犬にも、この傾向が残っています。具合の悪いものを欝るのをやめさせるしつけの鍵は、いかに、この自然の性向を解ってもいいものに向けさせることができるか、ということです。鶴る行為そのものを禁じるのは邪道です。骨を謁るのは必要であり、洋服を翻るよりははるかによいのです。
社会生活を身につける最初の段階、すなわち生後6〜7週目に、詔るものについての犬の好みを確定することが可能です。したがってブリーダーのところで事前にしつけなければならないわけです!もし、犬の好みが決まっていれば、この件に関する危機的な時期(乳歯が抜ける生後3〜4か月目、永久臼歯の生える生後6〜12か月目)に於いてすら、何の問題も生じません。

1歳未満の犬は小石、木、砂のみならず、小さなボール、尖ったもの、縫い針などをのみ込む傾向もあり、その危険は容易に想像できます。早くからちょっとしたしつけを行い、同時にのみ込むと危険なものを犬が届く範囲に置かなければ、余分の出費なしに最初の1年を過ごせることでしょう。
飼い主がよく犯す過ちは、子犬に古靴、穴のあいたスリッパなどを与えることです。子犬は、新しい靴と古いものの区別ができませんから、一度革靴を噛んでよいとなると、それを一般原則と思い、すべての革製品と靴は噛んでよい、と受け取ります。
噛んでよいものを3〜4品、ナイロン製の骨、硬いゴム製玩具、牛の関節(膝、脛)などを選び与えます。

いずれにせよ、解った破片が尖るようなもの、のみ込んでしまう危険のあるものを与えてはいけません。
(訳注訳者の経験では、歯の強い中型犬以上に与えてよい骨は牛の脛部分のみで、豚、羊などは危険であり、牛の肋骨さえも好ましくない。鳥類の骨は小型犬にとって、たいへん危険であることはご存じであろう。いずれにせよ、容易に噛み砕ける骨をやってはいけない)長い骨も好ましくありません。あるダックス・フンドが長い骨の髄を楽しんでいた時、何かに驚いて激しく動いたところ、下顎が骨の中空に入り、犬歯が引っかかり、口が閉じられなくなったことを思い出します。

これまでに、鶏の骨を食べて食道が詰まったり、腸穿孔を起こした犬が何匹いたでしょうか。
によっては次のような精神的ストレスを発散するため、通常より物を翻る癖の強い場合があります。
●まもなく主人が帰る。
●犬自身の支配性が強い。
●飼い主が在宅の時に可愛がりすぎ(不在時に物を諮る)。
●孤独。
●自由を束縛される時。
●精神的混乱(引っ越し、夏休みにどこかに預けられた、そこから帰った、なついていた人や

 動物の死亡など)。
●犬がなじんでいた習慣(食事内容など)の変化。
●退屈。
●間食のやりすぎ(犬が期待しているのに、もらえなかった場合)。

犬がよいものを詔っている時は褒めてやります。いけないものを解ろうとしたら、強い声で叱って取り上げます。そして謁っていいものをすぐ与え、解り始めたら褒めます。いけないものにはアルコールを染み込ませ、口に押し込みます。犬が吐き出したら褒めてやるのです。


この最後のやり方は、電線、椅子の脚などに利用すると予防策になるでしょう。この場合、犬を声で呼んではいけないので、必ず、不快なにおいをつけたもののところに運ぶか、引きずっていきます。このやり方は、すべでの犬に有効とは限りませんが、犬によっては非常に効果的です。
(犬を呼んで嫌なことをすると、「来い」のしつけに非常な悪影響が出る。飼い主に呼ばれた時は必ず、犬にとって心地よいことが起きなければいけない。このような些細な点が、実は犬のしつけで非常に重要なのである)

犬が吠える

生後5〜6週目に子犬が一度吠えることを覚えると、あなたと会話する、あなたに知らせる、果てはあなたを操縦するために吠えるようになります。吠える行為は条件づけ(しつけ)によって変えさせることが可能であり、この行為は人間の言葉による意思の疎通の前段階です。

したがって、吠え声はいろいろな意味を持ちますし、雄弁な犬や寡黙な犬が存在するのです。
これまでに学んだ知識でこの行為を奨励、あるいは制御する方法をとれば、大きな効果があります。ほかの犬と比べて声を出すのが好きな犬もいます。6週目の子犬を引っくり返した時、動作よりも、鳴く、喰る、吠えるなど、声を出して抵抗する犬はその傾向が強く、将来この種の問題を起こす可能性があります。鳴く傾向の強い犬には、予防手段を講じましょう。

子犬はおおよそ次の3つの理由で吠えるものです社会的孤独、警報、反応を求める。
最初の動機は孤独状態をなくすことによって簡単に対処が可能です。夜吠える犬を寝室に入れてやるなどです。しかし、犬は、趨る、壊す、おねだりするなどの理由により孤独におかれることがあります。この場合は、吠えるという二義的問題を直す前に、これらの癖を矯正する必要があります。

が孤独により吠える癖


体罰は一般的に問題を深刻にします。一番有効な方法は、犬がまさに吠えようとした時、別の音(超音波呼び笛、戸を叩くなど)で犬の気をそらせることです。これによって、吠える行為は報いられず、強化されませんから、1日、あるいは数週間で、孤独により吠える行為はなくなります。

●孤独による吠え声の矯正の要点
①このやり方は、犬に気づかれず、あなたが犬を監視できることが大前提。
②犬をひとりにする。
③犬は不安な様子でウロウロ動き回り、戸口のところで吠えようとする。
④犬が吠える前に、超音波呼び笛を使用し、犬の関心をそらす。
⑤犬を観察しつづける。
⑥犬が相当長い時間静かにしているまで、③〜⑤を繰り返す。
⑦犬が吠えずに孤独に耐えるようになるまで、①〜⑥を何回も繰り返す。

が縄張りを守って吠える癖

縄張りに侵入者がある時、声で反応するのは犬も狼も同じです。人によってはこの性質を喜びますが、些細なことで吠える状態が長く続けば、迷惑に感じてきます。犬が吠えたら、

まずそれを静め、自分で様子を見に行ってください。犬は飼い主に教えたので、今度はあなたが犬を吠えないようにしてから、その原因を調べに行き、役割を果たさなければいけません(犬は必要以上には吠えないものです)。人間に対して吠えるのを許してはいけません。99パーセントの人は悪事を働こうとしているわけでなく、ーパーセントの場合は、犬があなたのそばにいるだけで役に立っているのです。

●縄張りを守る吠え声の矯正の要点
①孤独を矯正するのと同じやり方を試みるか、以下の方法を用いる。
②友人に頼み、家に侵入するかのような音を立ててもらう。
③犬は吠える。
④2〜3回吠えたところで犬を呼び、静めてやる(犬は「来い」を

 学んでいなければならない)。
⑤1日に2回この訓練を行い、徐々に遠くの部屋から呼ぶ。

⑥怒ったり、叫んだり、犬を罰してはいけない。犬はそれを真似て、ますます吠える。
⑦飼い主自身がおとなしく、冷静にすることを心がける。大声を出し、叫び、すぐ手を出

 す飼い主の犬より、静かでおとなしい飼い主の犬のほうがうるさくないという事実は、
 大変興味深いものである。

このやり方をすれば、子犬に、誰かが家屋に侵入しそうになったら何度か吠えながら飼い主を迎えに行く、家を守るのはリーダーの飼い主である、と教えることができます。
犬が常に吠えるなら、ちょっとでも吠えそうになった時、前述の方法で気を紛らわせなさい。
また、犬の群れに於いて、上位の犬は下位の犬に対して稔ったり吠えたりするものです。ですから、もし犬が叱られた時に飼い主に吠えるようなら、その時こそすべてを逆転させ、誰が物事を決めるのかを見せつけなければいけません(第5章参照)。人間を脅やかす目的で吠える犬は、ある日噛む犬となります。「吠える犬は噛まない」という言葉を信じてはいけません。

注意して飼い主の支配権を確立すべきです。
子犬が餌をもらうために吠えるのに、報いてはいけません。そうすると犬はあなたの注意を引くためではなく、操る目的で吠えるようになります。散歩に出してもらうために吠えさせてもいけません。この2種の行為に対し、一度くらいなら、と時々報いると、それは犬の精神に深く根を下ろし、払拭することが非常に困難になります。

犬がなぜ吠えるのか、調べることも必要です。もし通行人に対して憤慨するのなら、犬の居場所を替えましょう。もし、飼い主不在の時に吠えて隣人から苦情がくるようなら、テープで記録してみましょう。そして、孤独によるものか、あるいは扉のベルや電話に反応して吠えるのかを調べることです。ラジオをつけ、ほかの音を聞きにくくするとともに、何か気を紛らわすものを与えましょう。犬が外にいるなら、暑すぎも寒すぎもなく心地よくしているか、誰かがいじめていないか確かめましょう。
犬が吠えたら声を強めて叱るか、もし必要ならバケツの水、パチンコ、電気首輪などで罰を与えます。あなたの想像力を働かせ、犬と飼い主の友好関係にヒビを入れないように、あなたの直接的介入が極力少ない罰を考えてください。静かにおとなしくして好ましいことをしていたら、褒めてやりなさい。

威嚇の吠え声は攻撃性の発露への第1段階であることを忘れずに、そしてそのようなことが起きないように注意するべきです。

が人に飛びつく癖
生後3〜4週目に子狼は自分の巣を離れ始め、消化のいい固形物を摂取するようになります。
彼らが優しいお母さんの頭に飛びつき、唇のあたりをなめると、母狼は反射作用として、胃袋から少し肉を戻してやります。離乳後、この動作は、群れの上位者に対する挨拶として行われます。
犬も同様の行動を保持しており、小型犬に於いては受け入れることも可能(あるいは望まれている)ですが、大型犬となると、子供や弱った人を倒す危険があります。グレートデンが立ち上がるとあなたを上から見下ろすくらいになりますし、前足を置かれた肩には相当な重みがかかります。


飛びつくより、次の方法を教えましょう。
●飛びつきの矯正の要点
①あなた自身がしゃがんで挨拶し、手をなめさせる。
②犬が飛びついても絶対に撫でないこと。
③もし飛びついたら押し返す。骨を傷つけないように注意しながら足先を踏む。膝で軽く胸を押す。
④③より①と②を用いたほうがよい。③は受動的防御(あるいは臆病)の性格の犬にしかいらだ
効果がない。能動的防御(あるいは攻撃的)の性格の犬はかえって苛立つ。犬を迎えるにはしゃがみます。飛びつくたびに犬の気持ちをそいでやりましょう。

音のするものを投げる、あるいは強い声だけでも十分かもしれません。犬の性格に応じて加減してください。いずれにせよ、首尾一貫した態度を保持するのです。飛びつかなければ可愛がってやり、飛んだら叱り、地面に戻ったらあなたのやり方で褒めてやります。ですから、一度罰し、すぐ愛撫と声で褒めることになります。

さて、以上に述べたいろいろなしつけは、いつからやるべきでしょうか?我々の生きている社会に順応するための行動を学ぶのに、どんなに若い子犬も幼すぎることはありません。

生後8週目、遅くとも3か月目に、子犬は家でお漏らしをせず、適切な方法で挨拶し、食事の問も静かで、むやみに吠えたりしないようにできるのです。犬は生後5か月頃から縄張りを守るために吠え始めます。あなたが護身犬を育てようとする場合を除いて、犬が最初にこの傾向を見せた時から、そうした行為を制止しなければいけません。護身犬も結構ですが、ある日、親友のお尻に犬が犬歯を立てるかもしれないのです(攻撃的な犬は、飼い主の隠れた性格と欲求不満の発露であることが多いものです)。
以上のしつけを行うにせよ、この時期の子犬は元気いっぱいの憎まれ盛りで、成犬のように分別がありませんから、あまり厳しくしてもいけません。
(一般に、作業犬などの専門訓練は生後1年程度から開始するのが普通である。ただ、本書で示されているように、初歩的なしつけは家に来たその時点から開始すべきである。日本では、まだ小さすぎてかわいそうだ、という理由で、とかく幼い時期を甘やかして過ごさせる傾向が強い。第8章などで示されている通り、動物には、ある特定の時期に特定の事項を学ぶというプログラムが自然界から与えられており、その時期を失すると、その事項の学習が不可能となってしまう。この時期を臨界期と呼び、動物行動学上、非常に重要な概念である。家に子犬が到着した時はだいたいこの重要な臨界期の最中なので、しつけには最も適当な時期であり、この時を逃すと将来問題が生じる可能性がきわめて高くなる)

 

がやたらに噛む癖
犬によっては、特に遊んでいる最中、やたらと飼い主の手を噛む不愉快な傾向を見せます。
この種の行為を放置すると、ついには犬が本気で噛むことを条件づける結果となりますし、一生にわたって、試しに噛んでみる癖をつけることになるのです。幼い時につけられたこの癖のせいで、攻撃的な成犬になる場合もあります。
臆病なの場合、大声で叱るか、体罰を与えれば、すぐこの癖は収まります。しかしこの方法は、攻撃的な犬に対しては事態を悪化させる効果しかありません。
噛み癖のある子犬たちの母親のやり方を見ると、この治療の参考になるでしょう。


●噛み癖の矯正の要点
①子犬が噛み、攻撃してきたら、その場でまったく動かないでいる。
②これで十分でなければ、強く叱り、場合によっては犬を驚かす動作をする。
③それ以上の罰を与えてはいけない。雌犬はそのようなことをしないし、子犬に悪意を持たず、ただ自分の権威を尊重するよう教え込むだけである。
④これでも不十分な場合、手を叩く、玩具を投げる、超音波呼び笛を鳴らす、などで気をそらせる。

⑤子犬に、「来い」「座れ」「待て」など、基本的なしつけを行う。
⑥子犬に服従の姿勢をとらせる。
噛み癖のしつけは早くから始め、それが脳髄に刻み込まれないように注意しなければいけません。噛み癖のある犬は大体が支配的ですから、第5章をよく読んでください。
(子犬の時の噛み癖を放置する人が多い。大して痛くもないし、動作は可愛いからである。しかし、小型犬ならいざ知らず中・大型犬の場合は、この癖の放置だけは絶対に慎まなければならない。噛み癖が「刷り込まれた」大型成犬を矯正するのは至難の業である。本書で示されている方法で実効があがらない場合は、革手袋をした手を口中に押し込む方法がある)