犬 犬のしつけ 子犬のしつけ方

犬と遊んでやる

生きるための活動が一時的に休止する時、遊びが始まります。生まれたばかりの子犬は一番
よく出る乳房を占領しようと闘い合います。腹がいっぱいになり、ひと休みすると遊び出すのです。
遊びの種類は先天的な動作の数ほど存在します。本能は時には意味のない行動で表明される場合もありますが、遊びは犬にとって必要なものなのです。
遊びは意思により行われるものであり、肯定的強化によって始まることはありません。が、褒美によって遊びをやめさせることは可能です(ショーヴァン)。


何か刺激を与えて、それを始めさせることもできます。たとえば、母犬の尻尾は子犬の不倶戴天の敵となり、一匹でも仲間と一緒でもそれと闘います。このように、徐々に、しかも楽しく学習が行われるのであり、喜びがその行為を強化する結果になるのです。
子狼が巣から出る頃になると、父狼が遊んでやります。まもなく父親は鬼ごっこをやり、子狼に狩りの感覚を身につけさせます。父狼は子狼たちの中に急に突進し、反射的に用心することを教えてやったりします。遊びを通じて、若い狼は生来の動作に磨きをかけ、反射作用を成熟させるのです。

子犬は遊び、追いかけ、跳ね、獲物を狩り、喧嘩をします。遊びながら自分の兄弟姉妹と競合し、支配的、あるいは従属的な性格であろうとなかろうと、階級を上に登ろうとします。喧嘩をすると、自分の噛む力や身体の柔軟性の見当がつくようになるのです。追いかけっこをすれば走る速度が増大しますし、筋肉や肺活量もついてきます。跳躍や疾走によって、視野の奥に行き、距離感覚も増大します。


子犬は飼い主の力と弱みを知ろうと努めます。支配性の強い犬はあなたに挑戦し、噛みつくことでしょう。従属的な犬は這いつくばり、少し脅かすと従属の失禁をします。独立性の強い犬なら自分のことにかかりきりで、あなたに悔しい思いをさせるでしょう。
遊びも学習の一つですが、あなたのしつけは遊びではありません。しつけは真剣で、短時間に、最後には褒美と遊びで締めくくられるべきです。
たまたま、犬が何かを運んできたとします。あなたはそれを投げてやり、犬は取りに行きます。これは犬の生来の行為で、狩猟家はこれを利用し、磨きをかけるのです。この場合、犬が簡単に発見できるよう、近くに投げてやります。


ついで練習の中身を濃くしていきます。犬をいったん座らせ、それから投げてやります。数秒待たせてから、方向を指図して犬を放すのです。その時「行け」といってやり、犬が投げたものの近くに行ったら、「探せ」と命じます。犬が見つけたら呼び、座らせてから「放せ」といって優しく取り上げます。犬を褒めてやりながら、必要なだけ反復します。この練習を高度にして、物を隠したり、あなたが遠ざかったりすることもできますが、これは特別訓練であり、本サイトの範囲を逸脱し、生後6か月以降に始めるべきものです。
遊びは、同じ種属の仲間の問で相互作用を促進します。社会的に均衡のとれた子犬は、次のような様々な社会的行動を行う好敵手として、同属の仲間を求めます。すなわち、遊び、闘争、求愛、名誉、あるいは縄張りを賭けた決闘などです。これは、均衡のとれた犬にとって不可欠なもので、最悪の結果(喧嘩の結果死亡するなど)を見ることはまれです。


臆病な犬は服従の姿勢、あるいは逃亡によって自分が劣位であることを示し、支配的な犬は捻ったり、必要とあれば牙を見せて(耳を立て、毛を逆立て)権威を振りかざし、独立心の強い犬は何事にも我関せず、自惚れ家は他の犬にそっぽを向いたりします(他の犬と交際したがらない)。
ひとたび階級が確立すると、挑戦は敬意と遊びへの誘いにとって代わられ、老いも若きも、追いかけっこをしたり走り回って楽しむのです。
問題が生じるのは、2匹の支配性の強い犬が出会って、いずれも譲ろうとしない場合だけです。

しかし、この場合ですら、犬たちは名誉を保ちつつ各々の側に引き取ることを好みます。
 
争いはむしろ、犬という動物を理解しない、あるいはヒステリックな飼い主が綱を引き、首を絞めることによって引き起こされます。こうなると犬は激怒し、敵意を露わにします。

攻撃訓練にはこの犬の性質を利用し、引き綱を引っ張って犬をけしかける技法が用いられる)
飼い主の存在により、引き綱をつけられた犬の攻撃性が増大していることは、あらゆる理論からして当然です。すべての場合にそうだ、とはいえませんが、綱がついている時にはきわめて大胆な番犬が、一度放されると、羊のようになってしまう場合がしばしばあります。この光景は非常に極端な例ですが、飼い主が不在で自由の身(綱をつけられず制御されていない)の犬が、主人の面前より、はるかに他の犬とうまくいくのは注目すべき事実です。2匹の仲の悪い犬が同居している場合、喧嘩の9割は主人の面前で起き、原因は飼い主の過ちにあるものです。


犬の大きさはこの問題に関係ありません。攻撃的なヨークシャーは臆病なニューファウンドランドを簡単に逃亡させることすらあるのです。したがって、犬の大きさに関係なく犬同士が知り合いになるように仕向けることが可能です。もし、あなたの犬がよくしつけられ、「来い」ができるなら、数分の間、犬たちの遊ぶがままにし、それから手元に呼び寄せ、散歩を続けます。

こうすれば犬は欲求不満に陥らず、より社交的になるでしょう。
もちろん、街中では犬を自由にさせてはいけません。常に引き綱をつけ、管理し、事故を避けなければならないのです。多少は欲求不満になったとしても、車にはねられるよりはましです。


結論として、犬の感受性・本能と、しつけの間に均衡と調和が保たれていることが重要なのです。
特別なしつけをしなくても、犬が理解する言葉は「いけない」であり、特にこの命令に重点を置く必要はありません(子供と同じく、「よし」よりもむしろ「いけない」によって犬は教育されている)。
これまで述べたしつけを大した困難なく犬に理解させることができているなら、うまく進行している道を途中でやめることはありません。一層、犬の能力を高めましょう。もちろん、犬の能力の範囲内での話ですが、いくらでも教えることができるのです。狩猟、探索、「持ってこい」、防御、攻撃、風船遊び、おどけさせる、飼い主とコーラスをする、読む、そして書くことさえも・・・・。

このような練習は、思春期が過ぎ、知能が発達する生後6か月以降、しかも初歩的なしつけが完成してから行います。6か月で犬の性格は形成され、知識はまだ十分でなくとも、知的可能性はすでに完成しているのです。

6か月で犬はつくられる。
これから、あなたの今までの苦労が報われようとしているのです。